看護師は臨床現場で働くのが典型的であり、病院や老人介護施設などを職場とすることがほとんどである。それが職能として最も求められているものであり、資格を活用して仕事をする道となるのは確かだろう。しかし、中には臨床現場で働くことを望まず、非臨床に職場を求める人もいる。非臨床で看護師が本来の職能を発揮して活躍している現場も決して少なくはない。看護は必ずしも直接誰かに対して手を下すことによってのみ実現されるものではないだろう。
看護に対する価値観の違いから、臨床現場で直接看護を担うよりも別の形で看護に寄与していこうと考えて非臨床を選ぶ例は多い。看護をする法制を整備したり、公の立場から衛生環境を整えたりすることを目指して保健師になるのはそのパターンの1つであり、看護の担い手をバックアップすると共に看護を必要とする人を増やさないことに寄与する道でもある。
一方、ハード面から看護師や医療スタッフをサポートするために、医薬品メーカーや医療機器メーカーに勤める人もいる。ハード面ではIT業界に参入する人も散見されるようになってきた。この他にも転職サポートやキャリア相談などを仕事としたり、介護施設などを開設して事業主として活躍する人も増えてきているのが現状である。医療の担い手という位置付けを考慮すると、看護に携わる方法は決して臨床現場だけではない。看護に対する価値観の違いから自分なりの寄与の仕方を考えて道を選ぶ人も多いのである。